あるジョブホッパーの軌跡

7転8起の人生

1社目③

 初めての転職活動は、難航した。当時、バブル期で、日曜日の新聞就職欄は、いつも募集記事満載だった。良さそうな会社をピックアップし、応募するも、書類すら通らない。途中入社なので、”何ができるか?””何をしたいのか?”がポイントになるのだが、私が主張したのは、”経理”という抽象的で、恥ずかしいものだった。たまに、面接にたどりついても、つっこまれると、直ぐにボロがでる。そもそも、”経理”とは何か、わかっていないのだから。この当時、滑ってがっかりした会社の多くが、その後のバブル崩壊に巻き込まれ、消失した。
 ある日、ふと、思いついた。経理ではなく、”SE”で勝負したらどうだろうか? 当時、先輩が転勤した後、ひとりで、先輩の作ったシステムの運用をしていた。得意とはいえないが、普通の人よりは、コンピュータに詳しい。開発業務そのものは 、あまり好きではなかったが、そんなこと言ってられない。これから、この分野は益々重要になる。SE営業という手もある。ちょうどその頃、システムユーザの女性から”塞翁さんは、営業に向いている。元々の性格は営業的ではないかもしれないが、仕事に自分の性格を合わせることができる人間に見える”と。たしかに、システム運用時、ユーザとの間のやりとりは、今でいうコンサルタント営業手法そのものであり、この面では、若干の自信があった。この方向で転職活動してみよう。そんな軽いのりでの職種転換だった。