あるジョブホッパーの軌跡

7転8起の人生

就職前夜②

 就職活動も一段落した頃、当時、コマーシャル等で先進的イメージのあった東京のメーカから面接の引き合いがきた。興味本位だけで、面接に参加したところ、(就職が決まって力が抜けたせいか自分の素の姿を出せ)いつになく絶口調で、トントン拍子で合格が決まった。素の姿が出せたのは、この会社の企業力のおかげと感心したりした。新聞等を見ても、毎日のように関連記事が載っている。ゼミの女の子連中の評判もいい。東京勤務が少しひっかかったが、(当時、関西を離れたい気持ちもあり)目をつむった。ゼミの先輩へのお断りの電話は、非常に心苦しかった。しかし、自分の判断は正しいと信じて、決断、実行した。ちなみに、長い社会人人生の中で、 自分の大学、ゼミの先輩のコネで何か得をした経験は、これ以降ない。
 9/30には、初めての新幹線で東京へ移動し、内定式に参加。その後、3日間、ビジネスホテルに拘束されることになる。初日、おなじ大学でいっしょに内定した男が内定を断わっており、小さなショックをうけたが、他の関西同期の人間とも仲良くなり、初めてのビジネスホテル暮らしもご機嫌だった。が、次第に、人気企業だけあり、周囲の優秀さに圧倒されだし、東京の人間は皆、今までの自分の周りの人間とは違う人種に感じたりした。完全なホームシック状況だった。関西機械メーカを断わったことを激しく後悔し始めた。2日ほどたった時、ある”スイッチ”がはいった。その後、人生で何度も経験する感覚、次の会社を探そうという”スイッチ”である。吹っ切れた感覚である。
 早速、空き時間に、10/4以降も面接日程がある関西本社の会社を本屋(今ならスマホ)で、探した。希望していたどっしりとしたイメージの歴史と名前の会社ではないが、1件、良さそうな会社を見つけた。関西に本社があった精密機器メーカである。