あるジョブホッパーの軌跡

7転8起の人生

1社目⑤

 予想通り、合格した。初めての転職活動成功であった。退社報告は、かなり緊張し、なぜか声がかすれた。上司は、引き留めることもなく、逆に、私の能力のなさをあげつらった。今なら、これは、ポジションパワーを持つ上司の責任に帰するものであると、言い返すこともできるが、当時は、ただ黙ってうなずくことしかできず、長い間、トラウマになった。例えば、コミュニケーション不足について。これこそ、”双方”の問題であり、上司にも大きな 責任がある。自分が上司になった時には、この言葉は絶対に言わずにおこうと強く思った。
 仲の良い同期達に退職の報告。ちょど同時期に辞める男が1人おり、彼とは、色々話し合った。30年以上経つ現在の同期達の状況を見ると、最初の3年で、ほぼその後の会社生活が決まっている。評判の良い奴から、出世している感じである。皆、一様に、口がうまく、プレゼン力があった。私は、この点でも、ここでの会社生活は終わっていたようだ。
 なんと次の担当が見つ かるまで3カ月も残留。針のむしろの中、耐えた。今なら、2週間で強引に辞めるが。。仕事関係の人達は皆、良い人ばかりで、一様に、私の退職を残念がってもらい、別れは、本当に、寂しかった。強面だった他部門の女性社員(私にはやさしかった)が、”姪と見合いしないか?”と、見合い話を申し入れてくれたが、そんな余裕がある状況でもなく、断った。退職した日、夜中に目が覚め、布団の中で、泣いた。